序列100位のシンデレラ〜冷徹御曹司と、嫁入りから始まる恋をする〜
 過去を視れる念力だって。

 妹に比べて随分と地味だ。可哀想に。

 逆なら良かったのにね。未来でも視ることができればあの妹にも勝てただろう。

 ……嫌な記憶が、穂波の脳裏によぎる。

 昔は懐いてくれていた都姫も、段々と距離を置いてくるようになり、仲良くいられなくなっていった。

 自分と一緒に並ぶのが恥ずかしかったのだと、穂波は思った。こんなに強い念力を持っていても差別されるのだから、自分と居れば、より後ろ指をさされたに違いない。

 前までなら、都姫を理解できるかもしれないと、また姉妹に戻れるように努力したいと思っていた。それなのに現実は思いとは裏腹、どんどん距離が離れていく一方だった。

 都姫について、こんなにも知らない事実があったことに、穂波は不甲斐なさを感じた。

「もう一つ、馬鹿な穂波お姉様に教えてあげる。八潮様を……私たちの父様を殺したのは、時隆さんよ」
「!? 時隆様が、八潮様を……」

 穂波は時隆を見つめるが、やはり時隆は何も言い返さなかった。黙って都姫の話を聞いているだけなのだ。

 事実でないなら、なぜ否定しないのか? 時隆の心情も、さらに掴めなくなっていく。

「天音様、すみません」

 除籍処分者がまた一人、影の世界へと入ってきた。椎菜誘拐事件の際に、倉庫で見た男だったのですぐに穂波はわかった。

「外で動きが……氷宮椿たちです」
「! さすが氷宮の当主。もう動き始めたのね」

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