*触れられた頬* ―冬―
 その頃。テントを施錠し、点検を兼ねた見回りをしていた暮は、困ったようにウロウロしている女性の姿を見つけた。

「うちの団員にご用ですか?」

 声を掛け、それに気付いた影が近付く。

「あ、あの早野と申します。モモ……早野 桃瀬に面会したいのですが……」

 ──モモと同じ苗字!?

 暮を照らす街灯の光が、徐々に女性の全貌を顕わにした──。


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