*触れられた頬* ―冬―

[22]つれない相手と釣れたモモ

 翌日午後。

 二人は遅めの昼食を、ホテルからも近いトレチャコフ美術館傍の居酒屋「グラーブリ」にて堪能していた……が──。

「先輩、あの……昼間からちょっと呑み過ぎなのでは……?」

 モモは目の前でウォッカをあおるように飲み干す凪徒に困惑していた。

「まったく! これが呑まずにいられるかよっ、どいつもこいつも~!!」

 ──あたしは呑まずに、というか呑めないんですけど……。

 と言いたいところだが、そんなことを言ったら最後、クドクドとお説教されそうなので、ぐっと言葉を呑み込んで食事を続ける。

 グラーブリはグリーンを基調とした内装が爽やかな、ビュッフェスタイルのレストランだ。

 味見も出来るし一品の価格も手頃なので、ロシア観光初心者には親切であるが、日本のようにどれだけ食べても一律という訳ではないので、多少の計算が必要なのはご愛敬。

 モモはおかわりをするほど初めてのボルシチが気に入った。


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