気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

それを望んだのは美織なのに、まだしぶとく居座っている恋心か、それとも幻覚か、正体不明のものが頭をもたげて美織を惑わせる。

(遊びだって、はっきり公言していたじゃない。いい加減にもう忘れなきゃダメ)

自分がここまでしつこいとは知らなかった。

美織が顔を曇らせて黙り込んだため、渚が心配そうに問いかける。


「美織さん、どうかした?」
「いえっ、なんでもないです」
「……そう? あ、もしかしてリゾート開発に反対なのかな? この辺一帯も昔、大規模な開発があったそうね。美織さんのご両親もそれが原因でペンションを畳んだって言っていたわよね」


東京出身の渚は結婚してこちらに移り住んだため、当時の開発の話は夫の拓也から聞きかじった程度という。両親の話は以前したことがあり、美織の反応の悪さがそこに端を発していると思ったようだ。

たしかに乱開発による土地利用だとか、森や海を開拓するリゾート開発という名の環境破壊が繰り返されているのは大きな問題ではある。


「恩納村のリゾートを開発しているラ・ルーチェは地元企業や住民との関係も良好みたいだけど」
「そうですか……」
「もしかしてなにかほかの悩み?」
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