愛され相馬くんの話
「なぁ、相馬、お前にこれやるよ」


そういって渡されたのは巾着のような袋。


「何ですか……これ?」

「まぁ、お守りみてぇなモンだ。但し中身はどうしても不安になった時に見ろよ」


そうしなきゃ意味がねぇからよ
とニヤリと意味深に笑う神奈月さん。



何だか雰囲気的に
これ以上質問するのも何だったから
何も言わないことにした。




「じゃあ相馬。ちょい出掛ける」

「また仕事ですか?」

「ん?まぁ、そんなところかな」








あれから1ヶ月後
神無月さんは帰ってこない。


元からそんなに家にくる人じゃなかったから
気にしなかったけれど
二週間ぐらいたったあたりから不安で仕方ない。



今、何をしているのだろう?


今、誰といるのだろう?



今、生きているだろうか?






ここ数日はベットに横たわって
泣く日が多くなった。


まさか、捨てられた?





そんな不安が泣いても泣いても拭いきれない。






その時、ふとある事を思いだした。



俺は押し入れの一番端っこに
ホコリをかぶっていた巾着を取出し
中身を開けた。

巾着を開けると、中には一枚の紙が入っている。


「東京タワーにこい」


何故東京タワーなのかとか
何故帰ってこないのだとか
そうゆう理由は頭から消し去った。


神無月さんに会いたい。


俺はその一心で家を飛び出し走った。
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