カレンダーガール

｢桜子、桜子｣
私を呼ぶ、明日鷹先生の声。

目を開けると、動揺しまくった明日鷹先生と紗花がそこにいた。
安心したせいか、思わず笑顔になって２人を見る。
よかった、私は生きていた。

｢桜子ー｣
うれしそうな紗花。

そして、
｢バカッ。あれだけ止めたのに、何考えてるんだっ｣
明日鷹先生には叱られた。

普段の優しい姿しか知らないみんなが、びっくりしている。

｢ごめんなさい｣
ボロボロと涙が流れた。

｢先生。相手は怪我人だから｣
さすがに、川上先生に止められている。

その後も、怖い顔しながら私の手をずっと握っていてくれる明日鷹先生。
その苦しそうな表情が、どれだけ心配してくれていたのかをうかがわせる。

｢鈴木先生。傷は浅くて、臓器に異常も無いから縫合すれば大丈夫。麻酔をして縫うね｣
検査の結果を川上先生が説明してくれた。

すると、
｢縫合は俺がするから｣
と明日鷹先生。

川上先生も苦笑いで、救急のスタッフも笑っている。
結局、縫合からガーゼ処置まで明日鷹先生１人でしてくれた。