カレンダーガール
「あのね桜子。私、お見合いしたの」
紗花が爆弾発言をしたのは、かなりお酒がまわってきた頃だった。

「はあー?」
私は驚きすぎて言葉が出ない。

「何よ。私たちも26になるのよ。結婚適齢期でしょう?」
それはそうだけど・・・

「大地がね、間違いない人だって言うから会ってみたの」
お酒が入り気持ちよさそうな紗花。

「で、どんな人だったの?」
「うーん。お金持ちで、いい人よ」

なんだか、紗花が幸せそう。

「まさか、付き合ってみる気?」
今まで恋愛には一切興味なさそうだった紗花からは想像もできなくて、半信半疑で尋ねた。

「桜子はいいわよね。森先生がいるから」
「何よそれ。紗花は自分から恋愛遠ざけてきたんでしょうが」
「そお?桜子みたいに、後先かまわず追いかけて助けたくなる男も、どんなことしても笑って迎えてくれる男も、私には現れなかっただけよ」
そう言うと、持っていたグラスをグッと空ける。

「紗花・・・」

紗花は実のお父さんのことがあって、男の人が信じられなかったのだろうと思う。
その紗花がお見合いって・・・

「とにかく、お見合いしたの。恋愛もしてみる。そのうち結婚話も出ると思う」
「結婚って、そんな。私たちまだ、研修医なんだよ」
「分かっているわ、そんなこと。でも、研修医が結婚するのって普通じゃない?それに、仕事も今のまま続ければいいって言ってくれる人なのよ」
「そんなあ・・・」

紗花にこんな顔をさせられる人って、どんな人だろう?
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