カレンダーガール
「お待たせしました」
コトン。
テーブルに水割りを置く。

「料理、美味しいね。」
「ありがとうございます」
ん?
グラスを置いてテーブルを離れようとしたのに、男性の視線が私の頭から足まで上下した。

「何か?」
さすがに気になった。

水割りを一口飲んでから、まっすぐに私を見る男性。

「君は、医学生?それとも看護師の卵?」
「えっ?」
あまりにもびっくりして、動きが止まってしまう。

「なぜ、そう思うんですか?」
「うーん、爪が短くてマニュキアもなし。香水もつけてない。それに・・・一瞬、同業者の匂いがした」

え。
私は、反射的に自分の体をクンクンしてしまった。

はははっ。
男性がおかしそうに笑いだす。

「ごめんごめん、匂いは嘘。そんな気がしただけだよ。それにしても君の反応が素直すぎて・・・」
一人で楽しそうに笑う男性。

これが彼との出会いだった。
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