カレンダーガール
おじさんたちのカラオケは、うまい人や下手の人も色々いるけれど、みんなお酒が入っていて楽しい雰囲気。
けれど、
『次は、飯島外科部長。お願いします。部長先生のリクエストで、和泉先生、鈴木先生デュエットお願いします』
司会の声で、紗花と顔を見合わせる。

イヤだよ。
酔っぱらったおじさんとデュエットなんてしたくない。
そう思っても、呼ばれてしまえば行くしかない。

仕方なく、私と紗花もステージに上がり、歌が始まり3人でマイクを握って歌い始めた。

しかし、そのうちに部長の手が私と紗花の腰に回る。
これは、完全にセクハラ。いえ、犯罪です。
それでも歌が終わるまでじっと我慢して、終了とともに席に逃げ帰った。

ちょっとだけ泣きたい気分。
こんな格好をして来た自分を呪うしかないけれど・・・。

席に戻っても、明日鷹先生は不機嫌なまま。
その上、みんなお酒が回り行動が大胆になっていく。
剛先生が牽制してはくれるものの、段々歯止めがきか無くなった。
その時、

「桜子ー」
酔っぱらった同期が抱きついてきた。

うわー。
「ちょっと」
慌てて離れよとするけれど、私はお酒が入っていて思うように体が動かない。
一生懸命に体を離そうとしていると、
「いい加減にしろ」
明日鷹先生が一喝して、ふりほどくいてくれた。

「・・・」
当然場がしらけ、空気が重たくなる。

止められた研修医もばつが悪そうだし、明日鷹先生も怒っている。
すべては私と紗花のせいなのにと思うといたたまれなくなって、私は席を立ち逃げるように駆け出した。

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