スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
3


 ――あのぉ……、悠真くん。少しぐらいなら大丈夫ですよ?

 そんなふうに揺すって起こしたくなる衝動をグッと押さえ、今夜も盛大にため息をつく。

 義姉夫婦のクリニックに臨時で勤め始めて、早一週間が経過。
 久しぶりの仕事にてんやわんやになりながらも、昔取った杵柄ではないが順応するのは早かった。

 クリニックによって色々とルールなどが違うところもあるにはあるが、根本的には同じことが多く仕事を覚えるのに時間は余りかけずにできていると思う。

『このまま凪沙ちゃんに勤め続けて欲しいわ!』などと霧子に言われたが、それには丁重にお断りしている。

 期間限定との約束で臨時スタッフをすると悠真と約束したからと告げると、霧子はプリプリ怒りながら、『悠真の言うことなんて聞かなくていいの。凪沙ちゃんの気持ちを大切にしなくちゃ』と言われてしまった。

 でも、凪沙としても臨時のつもりで協力しているだけ。長く勤めるつもりはないと言うと、霧子は残念そうにしていた。

 凪沙のしたいこと。それは、仕事ではない。
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