手を伸ばせば、瑠璃色の月
蓮弥さんの名前や交わした約束の内容を伝えることは控えたけれど、私の長々しい説明のおかげで、あれほど嫌そうな顔をしていた美陽も何とか納得してくれたようだった。


「男女2人でプラネタリウムとか、結構難易度高くない?まさか知世が誘うなんて、凄いなぁ」

「いや、あれは私が誘ったっていうか…」


そんな中、乙女のように瞳をキラキラさせて、完全に私が彼を誘ったと勘違いしている朔に言い返そうとしたけれど。


「…そういう事にしておいて下さい」


余計なことを言ったら話が拗れそうだったから、黙って受け流した。



「あっ、そういえば今日の古文の小テストって」

「それでそれで?その泥棒の存在、家族にばれてないの?」

「…範囲、80ページから85ページまでであってるっけ」

「男でしょ?かっこいい見た目してるの?」


その後、急に恥ずかしくなった私がやんわりと話題を変えようとしたのに、何故か蓮弥さんに興味津々の朔に話を戻される、ということが何度か続き。


「…家族には言ってません。泥棒さんは…それなりの、見た目だと思う」


大きく溜め息をついた私は、苦笑いを浮かべながら蓮弥さんに関する話題を受け入れた。


「“それなりの見た目”ね」


どう考えても褒め言葉よね、と、黙って私の話を聞いていた美陽が頬を緩ませる。
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