マーメイド・セレナーデ
思うことはいろいろあるけどお酒の回った状態ではあまり口が動かない。



「仲いいな、だとよ。アレが効いてんなあ」

「へどがでるわ」

「嬉しそうな顔してたくせに、何言ってやがんだ」



そんな顔してない、と言いたかったのに振り向いた瞬間翔太が思ったよりも近くて声を止める。

しゃがんであたしの顔を窺い、またばかにするように口角を持ち上げた翔太。



「なにっ、…んぐ」



ほんわかと甘い匂いが鼻をくすぐったがそれも一瞬、あたしは何も考えられなくなった。
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