マーメイド・セレナーデ

夢が現実

「どうするのよ」

「どうもこうもねぇだろ、どうせ田舎だ。親族だけのにしようぜ」

「だからって。じゃあ翔太がデザインしたのは悪いけどミスマッチだわ」



田園風景しか見えない田舎道を今度は翔太と2人走って行く。開けられた窓から匂うのは緑の匂い。
幼い頃から馴れしたんだ田舎の匂い。



「別にいいんじゃねぇの。親族ぐらいしか見ねぇんだし。お前以外、俺の仕事知ってたんだからうまく言いくるめれば納得するだろ」



全開にした窓枠に肘を乗せて片手で運転する翔太は前を向いたまま言い切った。
それが当たり前だと言うように。

そうね、そうだわ。
あたしもアレが着たい。
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