マーメイド・セレナーデ
memory-M.s-
チャイムの音で一気に覚醒へと促された。


1限から5限までぎっちりと詰め込んだ講義が終わるこの瞬間が一番好きだ。

あとは家に帰るだけとバッグを持って立ち上がったらあたしの名前が聞こえたから講義室のドアを振り向いた。
そこにはニコニコと笑みを絶やさないヒカルが立って手招きしていた。

ある種の感が働いて、なんとなく言われることを想像してしまった。



「真知、今夜ヒマ?」

「ヒマだけど……ヒカル、この講義取ってるでしょ?何してたの?」

「合コン行こ?」

「……ヒカルも懲りないのね、この前掴まされた男でもう合コンは懲り懲りって言ってたのは誰よ」

「えーだってまだ私たち、華の女子大生だよ?」

「…………行かないよ」

「どうしてー、真知ってばいつも行かない行かない言うけど、彼氏欲しくないのー?」



そういうヒカルはあたしより一つ下のハタチ。違ったわ、誕生日は冬と聞いているからまだ19。
あたしは一浪しているからもうハタチを超えている。春生まれだからもう21。

本当は大学なんて行くつもりはなかったの。卒業後もずっと変わらないままでいるって思ってた。
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