マーメイド・セレナーデ
連れて行かれて入ったのは照明が適度に落とされた居酒屋。
でも流れている曲からしてなんだかカフェに近い雰囲気を出している。

席に案内されると4人の男と2人の女。
女の子の方は学校が同じだからあたしも知り合い。だけど、男のほうはやはり誰も見たことがない人だった。


今日アタリ、そうあたしに耳打ちしてきたヒカル。
返事をする前に飛びつくように席についたからあたしは仕方なく開いた席に着いた。


アタリ、ってこの平凡な男のどこがアタリなのかしら。



「じゃ、自己紹介からねー」



時計回りに向かい合う医学科の年上の男から名前を言って行くけれどあたしは誰一人として名前を覚えようと思わない。

今時の格好いい名前が多かった気がする。
太郎とか、そんな古風な名前はいなかった、それだけはあたしにもわかった。


そして、あいつと同じ名前も。
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