消えた影
「……くだらんな」
「ククッ……右に同じってやつ?不本意ながらだけど」

 ビームライフルを磨いている、鋭い目つきに左目を怪我しているのが機動兵の赤毛、ガブラ曹長。怪しげな装置のコンソールに向かっている丸メガネをかけている方が作戦参謀のマルド軍曹である。

「貴様の日頃の行いが招いたことだろう。心愛は悪くない」
「自業自得ってやつじゃないのか?ククッ……」

 お互いの波長は合わないが、二人してマイペースそのものである。泣きじゃくる上官に対して同情のカケラもない。

「しっ、失敬な!!」

 ホイッスルを吹き鳴らしたノークが、教育指導とばかりにビシッと二人を指差した。

「そこの二人、まるで分かってないね!『ちがう!断じてちがう!』っての。我輩は無実なのだよ!」
「そうですわ。確かにお兄さま……意地汚いところはあるけど、証拠がありませんもの。あんまりです。てゆーか、推定無罪?」
「うぐぐっ……と、ともかくっ!我輩を陥れようと、わざと心愛のアイスを盗んだに決まってるであります!君たち、上官に濡れ衣を着せた真犯人を突き止めようって気はないのかね?ん?」
「皆無だ」
「ククッ……興味ねぇな」
「ムキ〜ッ!なにそれ?あっさり即答してくれちゃうわけ?こ、この怒り、どこへぶちまけてくれようか!」

 駄々っ子のようにジタバタするノーク。
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