ずっと、好きなんだよ。
行ってきますを言い、オレは家を出た。


スーツに革靴もだいぶ慣れた。


オレももう立派に大人やってるんだな。


大切な人さえも傷つけ、泣かせてしまった卒業式から7年。


オレは1つの区切りを経て、1つ大きな決断をしようと思う。


そのための材料は整った。


後はもう、時が来るのを待つだけだ。


その前に卒業生を無事送り出さなくては。


それが、教師としてのオレの役目だ。



電車に揺られ、懐かしい通学路を通っていく。


まだ緑色の桜の蕾がいつか満開の花を咲かせる日を想って、オレは正門をくぐった。



美豊学園高等部卒業式。



あれから7年。


オレは今日、


奈和に伝える。


一生分の


愛を込めて。




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