ずっと、好きなんだよ。
誕生日だからといって休みがもらえる訳ではない。


というのも、私が予想以上に出世してしまい...


新店舗の店長に抜擢されてしまったから。



「朽木さんなら大丈夫。なんだって、この俺のお墨付きだし~」



なんて呑気なことを言う宮森町店の店長は、今日も変わらず元気だ。


週の半分は新店舗のオープンへ向けての準備で宮森町店にはいないから、こうして話すのも珍しい。


店長になると決まったからか、最近ようやく"朽木さん"呼びをしてくれるようにはなったけど、まだ後輩扱いしてくる時があってそれには多少困っている。


でも、なんだかんだで仲良くやっているし、指導も適切だから、私は密かに尊敬している。



「大丈夫大丈夫って言われてもやっぱり不安ですよ。規模はここより小さいとはいえ、まさか私が店長やるなんて思ってもいませんでしたから。全く心の準備が出来てないうちにとんとんと話を進めて辞令出すなんて、ちょっと酷いと思います」


「まぁまぁ、そう怒らずに。今日は朽木さんにとって大事な日でしょう?」


「まぁ、はい」



私がそう言うと、店長は私の目の前に何かを差し出した。



「俺とパートさんから、朽木さんへのプレゼント。まぁ、1ヶ月もしないうちにまた餞別の品を送らなきゃならないから大したものではないけど、良ければ使って」


「ありがとうございます。大切に使わせて頂きます」


< 162 / 170 >

この作品をシェア

pagetop