ずっと、好きなんだよ。
好き...?


好き...


好き...



水面に雨が打ち付けた時のように波紋が言の葉と呼応して広がる。


何度も繰り返した言葉、


何度も消そうとした想い、


何度も閉じ込めた気持ち...


でも、


でも、


でも...



ダメ、だ。



やっぱり私...



顔を上げると、優しく微笑む美玲さんと目が合った。


分かってる。


分かってるんだ。


ずっと、


ずっとずっと、


分かってる。


けど、


でも、


消えない。


消せない。


そして、


溢れ出す...。



「好き、です。...好き、なんです。ずっと...ずっとずっと好きです。好きなままなんです。大好きなままなんです。本当は会いたいんです。今すぐにでも会いたい。声だって聴きたいし、名前だって呼んでほしい。ずっと...ずっとずっと思ってます。忘れようとしてもダメで、玲音くんの側にいられないって分かってるんです。私じゃないって、違うって分かってるんです。...でも、でも...でも......好き、なんです。だから、だからもう、どうしたらいいか分からない...。美玲さん......ごめん、なさい...」


「奈和ちゃん...」



傘を投げて美玲さんは私を思い切り抱き締めてくれた。


大丈夫。


ごめんね。


美玲さんは何度もそう繰り返した。


そして、最後にこう言った。



「ありがとう...。こんなにもれおのこと、想ってくれて」



その瞬間、ほんの少しだけ心がふわりと軽くなった気がした。


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