原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 口元を押さえたアビゲイルを、ロザリンドは不思議に思ったが話し続けた。

 5歳年上だったチカ先生は、ホナミにとって隙の無いお姉さんだった。
 そんなチカ先生が泣いて苦しい心中まで明かして初めて頼ってくれたのに、応えられないのが自分でも悔しい。


「だけど、公開されたのは第1章までですよね?
 まだアーノルドの秘密は私の頭の中にしか無かったんです。 
 それなのに私は覚えてないんですよ?
 下書きさえしていませんでした。
 これって王太子の秘密なんか無い、ってことになりませんか?」

「じゃあ、アーノルドは今のままの優しいひとで、ずっと居られる、ということなの?」

「そうなる、と思います」


 自信はなかったが、アビゲイルの為にもそうであって欲しい。
 アーノルド王太子殿下は闇落ちなんかしちゃダメだ。
 それから、そうだ、これもアビゲイルにお伝えしなくては、と思った。


「ミシェルも転生者だ、と自分で言っています。
 何故か、彼女の記憶は第1章の最終話の前話で止まっているみたいで。
 自分はこの世界のヒロインであり、運命の相手は王太子だ、とウェズリーを始めとした攻略対象者達に打ち明けています」
 
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