原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 凡庸なローレンス国王陛下と英明なアーノルド王太子殿下を比べて、どちらを優先するかは判断を任せる体を取っているが。
 国王よりもアーノルド王太子殿下を優先せよ、とアビゲイルは影に命じたのだ。


 2、3日中には国王陛下が自ら選んだ影がオスカーにも付くのだ、と義父から今朝聞いていた。
それが始まる前に、アビゲイルはオスカーと話したくて、今日登校してきたのかもしれない。


 ◇◇◇


「時間がないから手短に言うわね。
 転生や記憶云々については、この件が治まってからお話をしましょう。
 まず、王太子殿下には貴方を排除するお考えはないわ」

「私にも、そんな考えはありません。
 王弟などと今朝聞いたばかりで……
 ち、いやフロイド嬢。
 前々から貴女は御存じだったのですか?
 ホナミさんから聞いていたのですか?」



 やはりまだロザリンドは自分が転生者だと。
トクラホナミだと、彼に打ち明けられていない
のだ。
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