原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 コルテスの小僧には指一本触れていないのに、
抵抗してやられたことになっていた。


 3人を凝らしめた小僧は英雄のように持ち上げられて。
 クソガキは1人だけ、そそくさとこの国から逃げて、砂漠の女王の男妾になった。


 男は伯爵家の次男だったが、外聞を気にした父親から勘当されて平民になった。
 同僚は婚約破棄されて違約金を請求され、男と同じく実家から勘当されて首をくくった。


 昨夜、女からコルテス侯爵が商会から娘の護衛を雇う予定だと聞いて、早朝から邸宅の前で張り込んで、お気楽にやってきた本物のオズワルドを襲って身元保証書類を奪い、成り代わった。


「俺の目的はあの小僧で、お前をどうこうする予定ではなかったが、計画を変えた。
 今朝の様子を見たら、アイツは自分よりもお前に何かあったら、狂うのがわかったからな」


 ◇◇◇


 男が淡々と語るいきさつに、目隠しと猿轡から解放されたロザリンドは返す言葉も無かった。

 あのデビュタントの夜の出来事が、こんな結果になっていたなんて。
 面白がって流された噂から死人が出ていたなんて。


 オスカーやランドールや……
 キャラ付けした人物の陰で、名前さえ付いていなかった護衛2名に、そんな過酷な運命が待っていたなんて、想像さえしていなかった。
< 238 / 255 >

この作品をシェア

pagetop