原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
「今夜は、お義兄様としか踊りたくありません」

「それは光栄だけど、ロージーを独占したら俺が皆に恨まれるから。
 嫌じゃなければ、他の男とも踊ってあげないとね」


 オスカーはロザリンドに優しいが、それはあくまでも義兄としてだ。

 前世の記憶が戻る前のロザリンドはオスカーとは実の兄妹のようだ、と思い込んでいたが。
 ひとり娘で10年間蝶よ花よと大切に育てられてきた彼女は、兄という存在に憧れていた。

 それで幼い義妹にも、優しく微笑んで丁寧に接してくれるオスカーに直ぐに懐いたのだが。
 本当の兄なら妹に気に入って貰おうとしないから、蕩けるような笑顔は見せないし、気長に彼女の遊びに付き合ってくれたりしなかっただろうに、無知だったロザリンドはそんなことにも気が付かなかった。
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