原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 初めての顔合わせの日、カフェオレを飲む為に
ホナミがマスクをずらしたので口元の傷が見えた。

「カップル間のあれこれなんだから、こっちからは何も聞けないよ。
 ミカミさんも見て見ぬふりをして」

 手洗いに彼女が立った後、隣に居たチカ先生が
ミカミに注意をした。


 ホナミと会うたびに、密かに彼女の傷を確認した。
 以前より数が増えていると、見えない場所はどれ程酷いのか、と怒りがこみあげて。
 減っていると、他人事なのに安堵した。

 ホナミに対するその気持ちが愛なのか、判断は付かなかったが。
 彼女をどうにかして救えないか、と思っていた。

 彼女の方から相談なりしてくれたら、直ぐに動けるようにDVの救済関連を検索していた。
 そんな男から離れてしまえばいい、と何度も言ってしまいそうな自分を抑えていた。



 彼女はどうなったのだろうか?
 事故ったバスから無事に助け出されたのだろうか?
 そして、殴る男から逃れることは出来ただろうか?



 ……もし、君もこの世界に転生しているのなら。
 君が理想の男性だと言っていたオスカーに、俺はなれたよ。
 君のヒーローのオスカーに相応しい生き方を俺は出来ているかな。


 もし、再び君に巡り合えたなら。
 今世こそ、その手を取ることが出来るだろうか。
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