嘘も孤独も全部まとめて
「大丈夫か!」


後ろから走ってくる音と声が聞こえる。

ゆっくり振り返ると、さっきクズ男に声を掛けた男だ。


「へーき」


「救急車呼ぶから、名前」


「へ?別にそんなん要らないし。ってか、保険証も何もないから医者行けないし」


医者なんて、子供の頃以来行っていない。

そもそも、保険証なんて見たこともないし。


「じゃあ、親は?お前どう見ても未成年だろ」


「親は居ない」


居ないことはない。

ただ居るのは、あたしのことを一切見ない『母親』という存在の女と、あたしに暴力を振るって性処理させる『義父』というクズ男だけ。
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