聖女、君子じゃございません


「――――なんだか最近、鶏肉ばっかり食べてません?」

「え? ……そんなこと、ありませんケド?」


 ローラン様は目敏い。作戦を開始してからものの三日で、その一端がバレてしまった。怪訝な表情でわたしの顔を覗き込み、小さく首を傾げている。


「いや、間違いない。しかも調理法まで全部同じ。油で上げたものばかりじゃないですか。身体に悪いし俺のと取り替えましょう」

「え? ダメダメ! わたしはそれが食べたいんですよ」


 まさかそんな提案をされるとは思わず、慌ててストップをかける。


「駄目ですよ。脂っこいものを食べるとあなた、胃もたれする体質でしょう?」

「どうして知っているんですか!?」


 それはわたしのトップシークレット! ……って程ではないけど、すごい。そんなことまでバレているとは、さすがに想像もしていなかった。不調が出ても、聖女の力を拝借して、ちゃんとメンテナンスしてるんだけどなぁ。


< 112 / 125 >

この作品をシェア

pagetop