透明な君と、約束を
第三章 気付いてしまった気持ち


千世さんの連絡先を知ったというのに、鹿島さんはすぐ私に連絡を取って欲しいとは言ってこない。
ずっと想っていた相手が結婚していた、その事を聞いてまだ戸惑っているのかも知れない。

鹿島さんはいつも通り私と一緒に通学する。
学校に行くのは懐かしいから楽しいし気にするなと言う。
学校につくと放課後集合ということで鹿島さんは消えてしまうが、話を聞けば当時の先生方の授業をのぞき見たり、まるで授業をサボったかのように屋上で昼寝してみたりと満喫しているらしい。

「雑誌見たよ。
例の二人組とまた組んだんだね」

昼休み、リサが今朝出たばかりのティーン向け雑誌を机に広げた。
そこには、私が笑顔で洗顔用泡立て器を持っている写真が大きく載っている。
雑誌というのは商品でも記事でも載せられる場所というのは重要だ。
開いて右側左側、そのどちらの上や下どの位置が一番目が行きやすいかというのがあって、そこに売り出したい物、人気の人物などを乗せる。
この企画にしては私はかなり良い位置に載せてもらえて、おそらく彼女たちはこの雑誌を見てまた腹を立てていることだろう。
これもあの時鹿島さんが側にいて私を叱咤してくれたからこそだ。

「まぁね。でも私が持ってるそのグッズ、本当は隣の子が担当で撮影も終わったのに急遽私になったんだ」
「何それ詳しく」

目を輝かせたリサに私が鹿島さんの存在は当然言わずに事情を話せば、リサは痛快!と大受けしている。

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