スパダリ御曹司に年下看板娘は、溺愛で包囲されました。


 ***


「ぜんっぜん、来ないじゃん!」


 それから一ヶ月後、商業施設がオープンしてから一週間ほど経った。

 商業施設がオープンしてから全くお客様が来なくなった。オープン前は、「ここ一筋だから」と言っていた常連さんもほとんど来なくなり今じゃ一日一人来てくれればいい方だ。


「しょうがないねぇ……あんなでかい店が出来たらそりゃ来なくなるよ」

「もう! なんでおばあちゃん、そんなこと言うの!」

「ウジウジ言っても仕方ないからね。来ないもんは来ないんだよ。ま、今だけだと思うけどね。今は珍しいとか大きいからとかが理由であっちに行くけど、少し経てばまた戻ってくるよ」


 そう言っておばあちゃんは「せっかくだからお茶でもしようかね」と言って賞味期限が切れそうなお饅頭をお皿に乗せ煎茶を湯呑みに淹れて二人でお茶を飲んでいるととても久しぶりのドアが開く音が聞こえた。
 お客さんかもしれないと思って私は一口お茶を含み飲み込むと「こんにちわー」と聞いたことのない男性の声が聞こえた。


< 5 / 49 >

この作品をシェア

pagetop