その溺愛は後出し不可です!!
「うーん……。この期に及んで果歩がいつまでもそういう態度をとるなら俺にも考えがあるぞ」
昴はまるで悪巧みを考える子供のようなしたり顔で腕を組んだ。
昴がこの表情をする時は決まって碌なことにならないことを果歩は身を持って知っている。
うちの会社に来ないかと誘われた時と全く同じ。……嫌な予感しかしない。
「よし、ジャンケンしよう」
「また……?」
「俺が勝ったら俺が気に入ったやつを買う。果歩が勝ったら果歩が気に入ったやつを買おう。どうだ?」
名案が浮かんだと得意げな昴に対し、果歩の頭の上にはいくつもクエスチョンマークが並んだ。
「今度は何の話ですか?」
「これから買いにいく婚約指輪の話に決まってるだろう?」
「婚約指輪!?」
結婚もまだ納得していないのに、婚約指輪なんてもっての他だ。
どうやって止めるか迷っているうちにまたいつもの掛け声が始まってしまう。
「せーの!!」
「え!?う、あ、えい!!」
勝負の行方を直視できず、果歩は目を瞑りながら右手を出した。
「はい、俺の勝ち」
勝負はどちらに転んでも果歩の分が悪い。
婚約指輪を買いに行くという前提条件がそもそも間違っているのだから。
「さあ、早速出かけますか。お姫様」
昴は果歩の手を取るとチュッと水音を立てて手の甲にキスをした。