雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
次の日の朝、拓海さんの為に何かしたくて、朝ご飯を作った。

ワカメとお豆腐のお味噌汁。拓海さんに教えてもらった通りに昆布と鰹節で出汁を取った。ふんわりと鰹節のいい香りがキッチンを包む。匂いだけで美味しそう。ご飯はレトルトのじゃなくて、炊飯器で炊いた。おかずはちょっと崩れた目玉焼き。

ご飯が出来た頃に「いい匂いがする」と、拓海さんがキッチンに来る。
私がこの間、拓海さんの為に買ったグレーの上下の部屋着姿で。

スーツじゃない拓海さん、なんか一緒に暮らしている感じがしていい。

「朝ご飯作ったんです。食べてくれます?」
「もちろん。昨日の夜はベッドで沢山運動したし、お腹がすいた」
「運動って……」

昨夜の情事を思い出して、頬が熱くなる。

「奈々ちゃん、顔が赤いよ」

つんって、拓海さんが人差し指で私の頬に触れる。

「もう知らないんだから。ご飯にしますよ」

リビングのテーブルに二人分の朝ご飯を並べて、拓海さんと食事をする。料理上手の拓海さんに食べてもらうのはドキドキする。

どうかな、お味噌汁。出汁、薄くなかったかな?

心配していると、拓海さんが味噌汁のお椀を置いて、「美味しい」と口にした。それから、「奈々ちゃん、一緒に暮らそう」と真面目な顔で言われた。

驚いていると、拓海さんが「今言ったのは冗談じゃないよ」と付け加えた。
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