雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】

幻の映画

今朝は私一人で横浜の望月先生の家に向かった。

昨日、宣伝部のみんなに謝罪しに行ったあと、久保田と向きあった。それでようやく望月先生の奥様と何があったか話してくれた。

久保田は奥様を独身だと思い、口説いたそうだ。奥様が怒ったのも納得できる話だった。

一目惚れだったんです。

そう話す久保田は真剣な目をしていた。

今日子さんは僕にとても優しくしてくれて。年上の癒し系の女性に癒されたいって思うじゃないですか。毎日、阿久津部長に圧力かけられるし、中島さんの仕事、全部、僕に回ってくるし、僕だって癒されたいんですよ。そんな時にすっぽりと心に今日子さんが入って来てしまって……。

涙ぐみながら話す久保田からは奥様が言ったような、からかった様子は感じられなかった。真剣な気持ちに思える。

久保田の話を聞いていたら、半分は私の責任のような気がして来た。

私も随分と久保田を追い込んだから。

望月先生が怒っているのは、久保田が奥様を口説こうとした事が原因のような気がした。

だから、奥様が久保田を許してくれれば、解決する気がする。

とにかく、久保田に悪気はなかった事を奥様に話そう。

久保田の先輩として、元上司として、この件は何とかしてやりたい。
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