とあるヒロインと悪役令嬢の顛末〜悪役令嬢side

はじまりの おわり



静謐な空間に、魔法陣が浮かんでいた。

神殿の地下、徹底的に清められた部屋で私は、聖女召喚の魔法陣を維持すべく、魔力を流し続けていた。

私の他に神官長と、神官と魔法使いが一人づつ、魔法陣の近くにいる。

そこから少し離れた壁際に、父であるリズウェル公爵フェリックスが、心配そうにこちらを見ている。

その隣には、エラシオン帝国皇帝アーサー陛下。
そして……私の婚約者である、皇太子エドウィンが並ぶ。

心配そうにこちらを見る眼差しも、これで最後になるかも知れない。
しっかり合った眸と眸に、私は微笑みを浮かべた。
どうか、今までで一番、美しく笑えていますように————






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