ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 シア自身、自分の気持ちがどうなのかあの頃はよくわかっていなかった。
 背後の不穏な空気には気づいていないふりをして、ほんの少しだけ後ろに体重を傾けてみる。
 すぐそこにあるエドの体温。今この場で魔物の襲撃を受けたとしても、エドがシアを落とすようなことはないと安心できる。
 エドと一緒にグリフォンに乗るのにも、もうだいぶ慣れてきた。
 慣れてしまってはいけないとも思うから、ヨアキムに一緒に乗せてくれと頼んだら、エドとアンセルムを同じグリフォンに乗せるわけにはいかないと断られてしまった。
 なにかあったらアンセルムを連れてエドとは別々の方向に離脱しなければならないわけで、ふたりが同じグリフォンに乗るのはたしかにまずい。

「――なあ、シア」
「なんでしょう?」
「俺は、どこかで間違ったか? アンセルムには、事実を知ってほしくはなかったんだが」

 アンセルムが物事を理解できる年齢になるまで、イリアの罪については話さないと、イリアとエドは約束した。
 でも、アンセルムはエドが思っていたよりもずっと大人だった。おそらく、母であるイリアが思っているよりもずっと。
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