GIFT
すると葵さんは、僕から数歩ばかり距離をおいた。
きっと僕なら信じてくれると思って言ったに違いない…。
それなのに僕は、信じるどころか疑ってしまった…。
面会の受付を終えると、無言のままエレベーターに乗り込み、茉菜ちゃんの病室のある3階のボタンを押そうと手を伸ばした。
「紺野さん…違います」
すると、なぜか葵さんに制止された。
「えっ…だって茉菜ちゃんの病室って3階じゃありませんでしたっけ?」
「昨日までは3階の病室でしたけど、今日から集中治療室のある2階にいます」
「そっ‥そうなんですか?」
「はい。さっき茉菜ちゃんに教えてもらいましたから」
「なるほど…葵さんが言っていたテレパシーですか…」
「そっ‥そうですけど…何ですかっ」
僕の言い方が気に入らなかったらしく、葵さんはケンカ腰にそう言った。
「怒ってます?」
「怒ってません」
「怒ってますよね?」
「そう見えますか?」
「はい…」
「なら、そうなんじゃないですか…」
葵さんがイラついてるのがわかった。
これ以上は、ホントに喧嘩になってしまいそうだったので止めといた。
それから茉奈ちゃんのいる集中治療室の中に入ると、母親らしき女性が立っていた。
僕たちに気付くと微かな笑みを浮かべ、お辞儀をしてきた。
「佐藤さん、いつもありがとうございます。佐藤さんが来てくださるようになってから、入院生活でめっきり笑顔がなくなった茉菜も、本当に嬉しそうな顔をして笑うようになりました。今はこうして眠っていますけど、きっと喜んでいると思います」
「茉奈ちゃんは必ず笑顔で戻ってきます。私は信じています」
「ありがとうございます」
茉奈ちゃんの母親は涙を流しながら、葵さんの手を握りしめていた。
「すいません、こんな姿を見せてしまって…。それより、お連れの方は?」
しばらくして落ち着きを取り戻した茉奈ちゃんの母親は、僕の存在に気付いたらしく、こちらを見ながら葵さんにそう聞いていた。
「僕は紺野瑛太と言います」
「あなたが…」
「僕を知ってるんですか?」
「茉菜が会いたがっていました。「紺野瑛太っていう男の人が葵お姉ちゃんの未来の旦那さんになる人なんだよ」って言ってたんですよ。おかしな事を言うと思いますよね?」
「えぇ、まぁ…」
きっと僕なら信じてくれると思って言ったに違いない…。
それなのに僕は、信じるどころか疑ってしまった…。
面会の受付を終えると、無言のままエレベーターに乗り込み、茉菜ちゃんの病室のある3階のボタンを押そうと手を伸ばした。
「紺野さん…違います」
すると、なぜか葵さんに制止された。
「えっ…だって茉菜ちゃんの病室って3階じゃありませんでしたっけ?」
「昨日までは3階の病室でしたけど、今日から集中治療室のある2階にいます」
「そっ‥そうなんですか?」
「はい。さっき茉菜ちゃんに教えてもらいましたから」
「なるほど…葵さんが言っていたテレパシーですか…」
「そっ‥そうですけど…何ですかっ」
僕の言い方が気に入らなかったらしく、葵さんはケンカ腰にそう言った。
「怒ってます?」
「怒ってません」
「怒ってますよね?」
「そう見えますか?」
「はい…」
「なら、そうなんじゃないですか…」
葵さんがイラついてるのがわかった。
これ以上は、ホントに喧嘩になってしまいそうだったので止めといた。
それから茉奈ちゃんのいる集中治療室の中に入ると、母親らしき女性が立っていた。
僕たちに気付くと微かな笑みを浮かべ、お辞儀をしてきた。
「佐藤さん、いつもありがとうございます。佐藤さんが来てくださるようになってから、入院生活でめっきり笑顔がなくなった茉菜も、本当に嬉しそうな顔をして笑うようになりました。今はこうして眠っていますけど、きっと喜んでいると思います」
「茉奈ちゃんは必ず笑顔で戻ってきます。私は信じています」
「ありがとうございます」
茉奈ちゃんの母親は涙を流しながら、葵さんの手を握りしめていた。
「すいません、こんな姿を見せてしまって…。それより、お連れの方は?」
しばらくして落ち着きを取り戻した茉奈ちゃんの母親は、僕の存在に気付いたらしく、こちらを見ながら葵さんにそう聞いていた。
「僕は紺野瑛太と言います」
「あなたが…」
「僕を知ってるんですか?」
「茉菜が会いたがっていました。「紺野瑛太っていう男の人が葵お姉ちゃんの未来の旦那さんになる人なんだよ」って言ってたんですよ。おかしな事を言うと思いますよね?」
「えぇ、まぁ…」