離婚前提から 始まる恋
プロローグ
「若狭正雄先生の当選を祝して、バンザーイ」
「「バンザーイ」」
会場内に響く歓喜の声。

ここは関東近県の地方都市。
県庁所在地にあるホテルの大広間。
今日は国政選挙の投票日で、その当選を祝う祝賀会が今まさに開かれている。

「この度はおめでとうございます」
「ありがとうございます」

みんなが口々にお祝いを述べ、両親たちがお礼を言う。
こんな光景を何度も見てきた。
幸いなことに私が生まれてから父は選挙に落選したことはなく、祖父から引き継いだ地盤を常に守り国政へ進出し続けている。

「先生、次はどの大臣ですかねえ?」
「それは、わかりませんよ」
父は曖昧にごまかすけれど、地元後援会のメンバーはその話題が気になるようで遠慮なく聞いてくる。

まあね、今のところ二期続けて大臣職を拝命しているからには次も期待されるのは当然。でも、実際には総理が任命するまではどうなるのか誰にもわからない。

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