離婚前提から 始まる恋

ケンカの後 side勇人

いくら美味しそうな朝食を並べられても、それを一人で食べるとなると何とも味気ない。
その原因を作ったのは俺自身なのだとわかっていても、沈んでいく気分を引き上げることもできない。

ここしばらく新規の事業やトラブルの対応で忙しい日々が続いていて、花音のことを気遣ってやれていないのは自覚していた。
それでも、先日ベッドを共にしてから少し距離が縮んだ気がしていて油断していたのかもしれない。
もしかしてこのまま花音の気持ちが俺に向かってくれるんじゃないかと、かすかな期待もあった。

はあー。
俺しかいないリビングで、ついため息が出た。

昨夜は泣かせたのに、早起きして朝食を用意してくれていた花音。
いつも通りのサラダと卵とソーセージとパン。それにフルーツも添えて美味しそうではあるんだが・・・

「申し訳ないけれど、1人で食べる朝食は美味しくない」

それでも残すのはもったいないと、とりあえず詰め込んで用意してあった野菜ジュースで流し込んだ。
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