離婚前提から 始まる恋
「そう言えば、週末に実家へ行くんだったよな?」
「ええ」

出来れば行きたくはないけれど、行くって約束してしまったから・・・

「もし勇人が忙しいなら、今からでも断るわよ」

さすがに直前で母さんには申し訳ないけれど、勇人に無理はさせたくない。

「大丈夫、行くよ。それより、花音は少し早めに行って、向こうで休ませてもらった方がいいんじゃないか?」
「え、どうして?」

たまたまお盆の時期と重なった今週末の土曜日に2人で行って、1泊してから日曜日のパーティーに参加するつもりでいる。
もちろん前日や当日には母さんの手伝いもするけれど・・・

「こっちいるより、実家の方が花音も休めるだろ?」
「私は別に休みたいなんて・・・」

もしかして、勇人は私がいない方がいいのだろうか?
私がいなければ、遠慮なく里佳子さんと過ごせるとか思っているのだろうか?
もしそうなら、悲しい。

「体調不良が続くようなら実家で静養することも考えた方がいいだろ?」
「静養って・・・イヤよ。私どこにもいかないわ」
「花音」
勇人が困ったなって顔をした。

あと数ケ月後にはここを出ていくことになっている。
それがわかっていてわざわざ実家に帰ろうとは思わない。
もっと言うなら、少しでも長く私は勇人の側にいたい。

「とにかく、無理はするなってことだ。いいな?」
「はい」

きっと勇人なりに心配で言ってくれるのだろうと、私は素直に頷いて朝食を終えた。
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