離婚前提から 始まる恋
「体、大丈夫か?」
「うん」

立ち話もなんだろうと、勇人と二人で入った近くのコーヒーショップ。
窓際の席に座り、私達は向かい合った。

「無理して帰ってこなくてもよかったのに」
「・・・ごめん」
やっぱり迷惑だったんだね。

私が帰ってこなければ、勇人は里佳子さんと過ごすつもりだったんだろうか?
私が邪魔だから、帰ってきてほしくなかったんだろうか?
そんなことを考えていると自然と体に力が入る。

「ほら、」
運ばれてきたアイスティーを、勇人が私の口元に持ってきた。

「何?」
「我慢すると力が入って、唇をかみしめるのが花音の悪い癖。だから、まずはこれを飲んで」

そう言うと、ガムシロップとミルクを入れてストローまでさした状態で差し出す。
ガムシロ半分とミルクたっぷりが私の好み。
勇人がそれを知っていたことが、場違いだけれどなぜかうれしい。

「ありがとう」
私はグラスを手に取りミルクティーを一口流し込んだ。
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