離婚前提から 始まる恋
「ほら、もうすぐお迎えが来るんでしょ?早くご飯を食べちゃいなさい」
三朝家から迎えが来ると聞いて、母も忙しそうに動き回っている。

私も今日は吐き気もなく、少しずつでもご飯を食べることができた。

「花音、何か食べたいものがあれば買い物を頼んでおくけれど?」
「そうね、アイスとヨーグルトをお願いします」

自宅マンションにはコンシェルジュが常駐しているから頼めば家まで運んでもくれる。
とりあえず今日はマンションでゆっくり過ごしたいから、悪阻中でも食べられそうなものを頼んでおこう。

「病院には午後から俺がついて行くから、用意だけして待っていてくれ」
「いいよ、1人で行けるのに」
「何を言っているんだ、2人の子供だぞ。それに花音一人じゃ心配で行かせられない」
「そんなあ・・・」
私はずいぶん信用がないのね。

だからと言って、決して嫌な気分ではない。
何よりも、勇人が妊娠を喜んでくれたことがうれしい。
はじめての妊娠は不安でいっぱいだけれど、今の勇人と一緒ならやっていける気がしてきた。
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