離婚前提から 始まる恋
「バカっ、何やっているんだっ」
今度は完全に呆れ顔。
それも耳元で大声を出されて、私の身がすくんでしまった。

「勇人、いい加減にしろ」
その様子を見ていた尊人さんがさらに声を大きくする。

ああ、もう最悪。
何でこうなるのよ。
そもそも原因が自分だとわかっているから私としてもいたたまれないし、本当なら「お願いやめてください」と言いたいのに、勇人に抱きかかえられた状態では言葉がうまく出ない。

「花音、すまない。つい」
不服そうに、それでも謝罪の言葉を口にする勇人。

違うの、悪いのは私だから・・・

「もういいから、花音ちゃんを連れて帰ってやれ。うちの産業医の話だと過労の蓄積だろうってことだから、ゆっくり休ませるといい」
「ああ、そうする」

私が口をはさむ余地もなく、勇人が私を送って帰るってことで決まってしまった。

「じゃあ、気を付けて帰るんだぞ」
「ああ」
「花音ちゃん、明日は休んでもいいからゆっくり体を休めるんだよ」
「はい、ありがとうございます」
お礼を言って、私は勇人に抱えられながら医務室を後にした。
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