離婚前提から 始まる恋
成り行きのまま、迎えてしまった結婚式当日。

「ねえ、勇人はなんで私と結婚したの?」
無事に式を終えたばかりのホテルで、花音は思い詰めたように切り出した。

面と向かって、なぜと聞かれると正直答えにくい。
しいて言うなら、断る理由がなかったから。
でも、これは男の勝手な言い分なのだろうと思えて言えなかった。

「花音は、お義父さんの選挙のために結婚したんだよな?」
自分が答えられない質問を、今度は花音に投げかけてみた。

「うん、まあ」
言葉を濁す花音。

「後悔してないか?」
「・・・わからない」

正直だな。
それもまた花音らしい。

今回の縁談は健康問題を抱え次の選挙のために三朝財閥の後押しが欲しい若狭家と、中央政界とのパイプを太くしたい親父の望んだ縁談。
花音と俺はただそれに乗せられただけだ。

「お義父さんの次の選挙が終わったら・・・」
「終わったら?」
視線を向けることもなく、花音が繰り返す。

「離婚しようか?」
「えっ」

まだ若い花音がいつもでも俺に縛られるのがかわいそうに思えて口にしたのに、目を丸くして俺を見る花音。

「どう?」
「うん。わかった」

こうして、俺たちの離婚を前提とした結婚生活が始まった。

***
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