離婚前提から 始まる恋
「今日は花音さんがいるから美味しいお昼が食べられそうですね」

嬉しそうに私の荷物を運んでくれる拓馬君は、小児科医希望の医学部4年生。
22歳だから、私よりも2つ年下になる。

「拓馬君、今日は読み聞かせのボランティアよね?」
「ええ。でも小学生の男の子も多いからグランドでサッカーもするつもりです」
「そう。それは子供たちが喜びそうね」
「はい」

童顔でクリクリのくせ毛が拓馬君のトレードマーク。
身長も175センチと小さくはないけれど、勇人に比べれば小柄でかわいらしい印象。
その上小児科医を目指すだけあって人当たりも柔らかく、子供にも大人気だ。

「僕は、花音さんの料理の方が楽しみですけれどね」
「もう、拓馬君ったら」

今日は児童館で地元の子供たちを集めての交流イベントが行われる。
幼稚園児から中学生まで80人ほどの子供達が参加予定で、絵本の読み聞かせや体を使ったスポーツをして一日楽しく過ごすことになっている。
私はここで子供たちとスタッフ用のお昼ご飯作りを手伝う。
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