離婚前提から 始まる恋
話しをしてみると、拓馬君のお父さんはとっても素敵な人だった。
拓馬君自身のことも、医学生って言うからには実家はお金持ちで何不自由なく暮らしていて普段から遊んでいるのかなって思っていたけれど、実は苦労人だったと知り驚いてしまった
どうやら私はつくづく人を見る目がないらしい。

「花音さん、すごく眠そうですけれど大丈夫ですか?」

出してもらったカクテルで改めて乾杯して、その後もグラスを空けた。
自分でももう限界だなとは思っているけれど・・・

「ええ、だいじょう・・・」

言い終わらないうちに、急に視界が狭くなった。
さっきまではっきり見えていた拓馬君の顔がぼやけて見えて、体に力が入らない。

「花音さん、しっかりしてください」
切羽詰まった拓馬君の声を聞いたのが最後。
そこから先の記憶が私にはない。
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