命の玉
外へ出た。私の住む町は別に大都会というわけでもないけれど、田舎というわけでもない。
私が住んでいるのはこの町の中では都会。
もう少し離れたところに虫の声がする森や田んぼがある。
もうこの辺の小中学校の門限は過ぎているから、大人に見つかって怒られないように気を付けよう。
しばらく歩いていると山の入り口まで来た。
こんなところにりさはいないよね。
そう戻って引き返そうとしたとき、急に白い光に包まれた。
眩しい…!
目を閉じたらすぅ、と光が消えた。
顔を上げるとそこには信じられないくらい綺麗な女の人がいた。
服も、髪も、肌も白くて綺麗。
この前掃除してあげようと思って入った妹の部屋に飾ってあったポスターの人よりずっと綺麗。
「妹さんを、探しているの?」
「…」
声もきれいだな。
…!いけない!聞きほれている場合じゃないわ。この人、りさの居場所を知っているかもしれない!返事しないと!
「…りさのことですよね?探しています!どこにいるかわかりますか??」
思い切って聞いてみた。
「知っているわ。」
…!
この人が何者か知らないけど、りさを探す手掛かりになるなら話を聞かないと。
「教えてください!」
女の人はにたりと笑った。その表情は、どこか不気味だった。
「ふふ。妹さんにあいたいのね?なら私のお願いを聞いて頂戴。」
この人、りさにあわせてくれるのかな??
「わかりました!できる限りのことなら何でもするのでりさにあわせてください!」
わたしは、りさと一緒に帰りたい。
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