命の玉
「命を懸けているって…。お姉ちゃんは大丈夫なの!?私、お姉ちゃんに死んでほしくないよ…。私なんかのために…。優しくてかわいくて、成績優秀なお姉ちゃんのほうが…私より…」
私なんかより、ずっと生きる価値があるよ。お姉ちゃんが死んじゃったら、みんな悲しむよ。でも、私なんて…!
「あなたがどう思おうが、お姉さんは命を懸けるほどあなたを大切に思っているのよ。」
お姉ちゃん…。なんでお姉ちゃんはそんなに優しいの。どうして私のこと、嫌いにならないのよ。
こんなこと、考えたくもないけれど、
「もし、もう二度とお姉ちゃんにあえないとしても、せめて…。せめて最後にお姉ちゃんのために、何か役に立ちたいわ。私にできることはないの?」
お姉ちゃんともう二度と…。胸がきゅっと苦しくなる。お姉ちゃんがこんなにやさしくなければ、こんな気持ちにはならなかったのに。
「あるわ。この後あなたの町に帰してあげる。だから、お姉ちゃんの手伝いをしなさい。朝5時までに二人ですべての命の玉を集められなければ、あなたは消えて、お姉さんは死んでしまう。いいいかしら?」
よくはないけど…。私が何と言おうと何もしなければ死ぬだけじゃない。
「わかったわ。早く私を町に帰して。」
次の瞬間、私は家の門の前に座り込んでいた。女の人はもういない。
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