プラトニック ラブ

禁断の地



2人で小競り合いをしながら歩いていると、両科の境界線とされている視聴覚室の端まで辿り着いた。

視聴覚室と普通科の1年生の教室前に引かれている横1本の白線が両科の境界線だ。





当然、この先に足を踏み入れた事がない。
この先には、一体どんな活気や情熱や青春が詰め込まれているのだろうか…。


ジュンは白線を直視して一瞬躊躇いを見せたが、セイは境界線などものともせずに乗り越えた。







1本の白線。
両科にとって深い意味を持つが、誰が監視してる訳でもない。
白線の向こうに行こうと思えば、いつでも行ける場所だった。



ただ、この先に足を踏み入る事は規則として禁じられているから、芸能科の生徒達にとってはここからは禁断の地。
それを従順に守り続けているのは、単に普通科の生徒に無関心なだけ。



しかし、逆パターンの場合は男女関係なく厳罰が科される。



普通科の生徒が西校舎に侵入した場合

該当者の緊急三者面談
10枚以上の反省文
3ヶ月間、共有スペースの使用禁止
教師による半年間の特別監視強化

当然、保健室も利用禁止。
怪我や病気の場合は、場を生徒指導室に変えて養護教諭が出張に行くとか。







このように、本校は差別社会の見本とも言えるほど利益重視である。

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