プラトニック ラブ

追われる冴木



ハアハアと息を切らしながらも、頭の中では彼に会えた時の事をイメージをする。



びっくりするだろうな。
最初のひと声は何て言うんだろう。
喜んでくれるかな。
それとも、迷惑そうにするのかな⋯。



冴木は全力で廊下を走るが、追っ手の教職員達はまるで鬼ごっこをしているかのように距離を縮める。



校舎内を迷ってる暇はない。
先生達に捕まる前に彼の元に向かわなければ、全ての計画がパァに。

西校舎に侵入した瞬間から時間との勝負。
身体も精神状態も今は極限状態に。






冴木は顔を左右させて髪を揺らしながら階段を探す。




現在は授業中。
教師達は生徒達の邪魔になりたくないと思い、余計な声を上げない。


何故なら芸能科の生徒達は、学校に滞在している一分一秒がとても貴重だ。
午後に補習等は行われているが、未成年の仕事は午後に集中している為、出来れば午前中の時間内で授業を終わらせたいところだ。








彼に会うまでは不安との戦いだけど、意を決して侵入したからこそ、簡単に捕まる訳にいかない。


ただ、会って話がしたいだけ。



幸せな空間をハサミで切り取られてしまったかのように突然音信不通になったから、間に第三者が絡んでるようにしか思えなくなっていた。

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