プラトニック ラブ

淡い期待



期待していた。
その分、ショックでもう言葉にならない。



これが、もし1ヶ月前の彼だったら無視なんてしない。

気が利いた言葉が言えなかったとしても、『手を離してあげて』とか、『嫌がってるだろ』くらいは言ってくれただろう。




でも、1ヶ月ほど会わない間に彼は変わってしまった。



私が警備員に連行されても着席したまま。
腰を上げるどころか、まるで別人のように冷静でいた。



彼も私と同様、きっと何か言いたい事があるはず。
じゃないと、あんな寂しそうな目を向ける筈がない。
長く交際していただけに、表情を見るだけで微々たる変化くらいは気付く。



でも、彼が私に言いたい事を口にするタイミングは、もしかしたら今じゃないのかもしれない。

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