プラトニック ラブ

タイムリーな質問



「そう言えば、KGKって今日留学するんだよね」



一橋はそう言うと椅子の背中に深くもたれかかった。

紗南への心配は、収まり始めた気持ちにそっと波風を立てていく。



「もしかして元気がないのはそれが原因?これからは、テレビで観れなくなっちゃうね」



ーーそう。

学校で会えなくても、テレビでは毎日のように会えていた。
CM、音楽番組、芸能ニュース、バラエティ番組。

テレビで彼を見ない日はないくらいに⋯。



「KGKが留学している間、他の歌手はこのチャンスを狙って足を引っ張り合うだろうね。これを機に、音楽業界は衣替えをしてしまうかもしれない」

「それって、どーゆー意味ですか?」


「トップが不在の間に空席争いが始まる。新しい時代が生まれると共に、きっと新しい音楽が次々と生み出されていくだろう」

「じゃあ、2年後に日本に戻ってきた時は、もう別の時代が待っているという可能性があるって事ですよね」



歌には時代に沿った流行りがある。
それを生み出していくのは、次世代を担う先駆者だ。

KGKの2人も同じように、次世代の先駆者として圧倒的なスピード感でトップまで上り詰めてきた。

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