プラトニック ラブ

遠い存在の彼



ヒールが折れそうなくらい、いっぱい走った。

慌てるあまり雪でスリップして、正面から来た人とぶつかったら、カバンの中身が散らばって荷物が雪まみれになった。

それでも1秒でも早く彼に会えるようにと、雪が付着したままの荷物を拾い上げて鞄に放り込み駅へと飛び込んだ。







でも……。

全身雪まみれの状態でハァハァと白い息を吐きながら、駅に到着したまではいいんだけど…。

心配していた電車は辛うじて動いていたんだけど…。


残念ながら、今の私に彼の現在の居場所はわからない。
これからどの方面のどの電車に乗車すればいいのかさえ…。



本当は、もう二度と会えないんじゃないかな。



会えない不安に駆られていたら、虚しさとやるせなさのあまり、大雪に負けないくらいの大粒の涙で頬をぐしゃぐしゃに湿らせ、しゃっくりが起こってしまったかのように激しく咽び泣いていた。



駅構内で1人で泣いていても何の解決にも繋がらないのに…。

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